病気と向き合う人に、 とことん寄り添う。
医療法人すずらん会 たろうクリニック
内田 直樹 院長 / 内科・心療内科・精神科・在宅医療
博多湾に面する閑静な住宅地、福岡市東区名島の診療所たろうクリニックでは、在宅医療に力を入れています。また認知症早期発見のための「物忘れ外来」にも、多くの患者さんが通院しています。「すべての人が病気を抱えていても、過ごしたい場所で安心して過ごせる」医療への実現を掲げ、現在認知症の患者さんに対して、YaDocのオンライン診察を行っています。
リアルタイムに「見える」ことで、医療の質は飛躍的にあがる。
当院では現在、600名ほどの方に訪問診療を行っていますが、私が認知症の専門医ということもあって、そのうち8割の方が認知症という診断がついています。当院では、オンライン問診とオンライン診察を導入しています。当院初となったオンライン診察は、当初は、物忘れ外来で通院されている認知症の患者さんに使用する予定でした。
しかし、導入した直後に患者さんの疾患が急性に増悪。これによって、急遽在宅医療とYaDocでのオンライン診察を組み合わせることになりました。在宅医療でのYaDocの使用は、とても効果的だったと思います。従来なら、往診か電話の2択だったものが、オンライン診察ではお互いの顔を見ながら診療することができます。
また患者さんの皮膚の腫れ方や傷の状態を見ながら、適切な薬を選択するなどの診断を行っていました。視覚情報が増えることで、医療の質は格段に上がることを実感しました。また容態によっては、訪問診療の時期を予定より早めるという判断ができることも、オンライン診察の大きなメリットであるという気づきもありました。
治すことはできなくても、支えることはできる。
一般的には、お看取りが近いときに医療依存が高くなると思われがちですが、実際は医療的対応ができることは少なく、ケアが中心になります。患者さんのご家族にとっても経験のない場合が多く、不安も大きい。そこをオンライン診察で支えたいと考えています。
もう一つのテーマが、認知症です。私は、認知症とともに生きる方々をどう支えるか、ということをテーマに考えつづけてきました。現状、この病気に医療ができることは限られていて、今の医学では完全に治癒はできません。だからこそ、どうケアしていくかが大切。YaDocによって、患者さんの情報がスムーズに入ってくる。結果、何かあればすぐに対応できる、困ったことがあればすぐに相談に乗ることができる。つまり、効率をあげながら、医療の質を高めることが可能になります。その先に、「認知症とともに安心して生きていける」世界があるのではないかと考えています。
患者さんご家族の声(Y.Iさん)
内田先生には父の認知症を診ていただいていましたが、オンライン診察をはじめた矢先のこと、別の病気が発症しました。父には、家族のいる安心できる場所で、一緒に暮らしてほしいと考え、予定していたオンライン診察は、在宅で継続することに決めました。病状が刻々と変化していくなかで、どう対応すればいいのか分からずに不安になることは多くありました。そんななかで、YaDocを通じて顔を見て話しを聞いてもらえる安心感や、家から先生に相談ができるという相談のしやすさには助けられました。
その安心感から母もYaDocを使用しています。病室よりも自宅の方が普段に近い様子で話しているので、先生に病状が正しく伝わっていると思います。認知症のように治すことのできない病気でも、YaDocを利用することで、自宅でも手厚いケアができていると実感しています。