小児科の面会にオンラインを導入。子どもや家族のための先駆的な取り組み。

岩手医科大学附属病院
外舘 玄一朗 小児科 講師

コロナ禍においては面会を制限している医療機関も多く、ご家族と患者さんが会えない状況が続いています。 岩手医科大学附属病院新生児集中医療室(NICU)ではYaDoc Quickを活用することで、NICUに入院している赤ちゃんとご家族とのオンライン面会を実施されています。NICUでオンライン面会を担当している外舘先生、看護師の小野寺さんと山田さんに、導入にいたった経緯や開始までの工夫、実施してのご家族の反応などをお伺いしました。

オンライン面会をはじめたきっかけを教えてください。

医療的ケア児とその家族はコロナ感染症の流行により、対面での診療に感染リスクが高まる不安をお持ちでした。岩手医科大学小児科学講座では岩手県保健福祉部医療政策室、NTT東日本岩手支店の協力を得て、YaDocによる医療的ケア児オンライン診療をいち早く取り入れました。さらにコロナ感染の急増に対して小児の見守り診療にも利用していました。その取り組みの中で長期入院が必要なNICUの面会をYaDoc Quickを使用してオンラインで行ってみてはどうかという話しになりました。

導入にあたって苦労した点や、工夫したことはありますでしょうか?

外舘先生:
オンライン面会導入までに看護師や医師、病棟スタッフの協力があったので大きなハードルはありませんでした。担当の看護師が中心になって、コロナ禍でもご家族の面会を実現したいと一丸となって取り組めたのが大きかったと思います。大学病院やNICUでのオンライン面会は前例が少なく、ご家族への同意と説明の文章を作成するのが苦労した点です。YaDoc QuickはビデオシステムにZoomを採用していますが、私は普段からZoomを使ってWebミーティングを行っているため、操作はすぐに馴染むことができました。汎用されているアプリを使用している事や、若いご両親や看護師はスマートフォンの操作に慣れている事がスムーズに導入できた要因かもしれません。

小野寺さん・山田さん:
ITに慣れているメンバーばかりではなかったため操作等を教える大変さはありましたが、全員が協力して何とかしようと思っていたので大きな負担に感じる事はありませんでした。説明資料はインテグリティ・ヘルスケアさんが作ってくれた資料をベースに作成しました。オンライン面会を利用するご家族はZoomに慣れている方ばかりではなく、音声やビデオをオフにしてしまう方もおり、最初の頃は説明に少し戸惑うこともありましたが、簡単に解決できることが多く、慣れてしまえば問題なく実施できています。 最近はスタッフのサポートレベルもあがってきていますので、事前に使い方を説明しておく等、より簡単に使ってもらえる体制を作れたらと思います。

オンライン面会を利用したご家族の反応はいかがでしたか。

入院時のオリエンテーションや来院時にオンライン面会のご案内をするのですが、お子様の顔が見たいという方が多く、多くはオンライン面会を希望されます。コロナ禍で面会が長期に制限されており、赤ちゃんの顔を見ることができて嬉しいというお声をたくさん頂きます。NICUでは通常、お兄さんお姉さんの面会はご遠慮していただいていますが、オンライン面会ではご両親とお兄さんお姉さんが一緒に面会できるので、お兄さんお姉さんが赤ちゃんに話しかけたりしてくれます。これは今までのNICUではなかった光景で、オンライン面会の良い点だと思います。

オンライン面会を導入してみての感想をお聞かせください。

Zoomの取り扱いに慣れていないご家族や看護師に接続方法を教えるなどの苦労はありましたが、実際に面会している様子を見ると、私たちも非常にあたたかい気持ちになります。まったく面会できないご家族がオンラインで赤ちゃんの顔を見て声をかけることは、ご家族の不安な気持ちを改善するだけでなく、赤ちゃんにも良い影響があるのではと思います。また、自宅というリラックスした環境で赤ちゃんに声をかけていただけることや、今まで仕事や、里帰り出産等でお父様の面会が困難であったご家族も面会することができるため、家族支援に繋がる可能性があるのではないかと思っています。

今後取り組みたい事や展望について教えてください。

オンライン面会に対する感想をご家族と医師、看護師からアンケートを取り、オンライン面会の質を向上したいと思っています。いずれは面会できないご家族の不安をオンライン面会で改善できるような研究ができれば良いと思っています。また、岩手県は面積が広く、コロナ禍以前から面会に来たくてもなかなか来ることができないご家族もいらっしゃいました。オンライン面会はアフターコロナにおいても有用だと感じています。

オンライン面会に取り組む外館先生と看護師の小野寺さん、山田さんにお話を伺いました。

コロナ禍で病院に行くことができないご家族様にとって、非常に有益な取り組みであると考えます。
引き続き、岩手医科大学付属病院様の取り組みを発信できればと思います。

  • YaDocの導入、および臨床における利用は、各医療機関の医師の判断によるものです。