試行錯誤でつくりあげた発熱外来でのオンライン診療
なるかわ内科・脳神経クリニック
脳神経内科・内科 成川 真也 院長
新規ご開業後まもなくオンライン診療を開始され、自宅検査やみなし陽性となったコロナウイルス陽性者を対象にした発熱外来を積極的に行っていらっしゃる、なるかわ内科・脳神経クリニック院長の成川 真也先生にお話をうかがいました。
オンライン診療を導入された背景を教えてください
元々、開業と同時に、オンライン診療を開始しようと考えていました。具体的にどのような患者さんに対して実施するかを決めていたわけではなく、時間の使い方や、患者さんが実際にシステムを扱えるかという面で手探りの状況ではありましたが、コロナウイルス感染者の方に使うことがメインになるだろうなと思っていました。
背景としては、オンライン診療を開始する為には、様々な準備に時間を要することを想像しており、開始したいとおもった時に準備をするということでは間に合わない可能性があると考えたためです。そのため、システムの導入は余裕をもって行うことにしました。
オンライン診療の専用システムを探していた中で、YaDoc Quickを試しに使用してみたところ、想定していた発熱外来などの運用を行って特に問題がなさそうだと思い、使用することに決めました。
導入にあたってのハードルはどのようなものがあったか教えてください
YaDoc Quickでは、ビデオ通話についてはZoomを使うのですが、患者さんがZoomを使えるかどうかについては少し心配がありました。そこで、あらかじめ患者さんに電話をして、医師がオンラインでも可能と判断した場合に実施しています。
あとは、オンライン診療を行う時間についても、どのように調整しながらやっていくか悩みました。最初は、対面診療の合間にオンライン診療の予定を入れてみたのですが、混乱してしまったため、あらかじめ、診療終了時からお昼時間の前などに、オンライン診療の時間の枠を決めて実施をすることにした結果、スムーズにいくようになりました。
発熱外来の運用はどのようにされているかを教えてください
今は、コロナウイルス「みなし陽性」の患者さんや、「自宅検査で陽性」となった患者さんについては、来院が不要で、お薬も届けてくれることになっている(新型コロナウイルス感染症の感染急拡大時の外来診療の対応について 令和4年1月24日 一部改正)ため、医師から患者さんに直接お電話にて「オンライン診療にしましょうか」という話をし、YaDoc Quickの仮予約機能を使って患者さんにオンライン診療予約用のリンクをお送りしています。
また、事前に電話を行うことにより、あらかじめ患者さんの基礎疾患等の情報を収集したうえで、オンライン診療が実施可能だと判断した患者さん限定でオンライン診療を行っています。発熱外来の患者さんの人数は、コロナウイルスの流行状況によって、多いときや少ないときがありますが、コンスタントに実施しています。
基本は医師のみでYaDoc Quickを操作しています。また、オンライン診療に関する請求もYaDoc Quickを通じて医師が行っています。処方については、近隣薬局さんと連携をしており、患者さんへのお薬の受け渡しがスムーズなるようにコミュニケーションを取っています。
発熱外来でYaDoc Quickを運用してみてのご感想を教えてください
患者さんの本人確認のために、保険証情報等をあらかじめ収集しておくことができる点は、オンライン診療をスムーズに行うためにも、また、オンラインから対面に切り替える場合にも、有用であると感じています。
患者さんの中にはシステムに慣れず、電話でつなげざるを得なかった方もいましたが、患者さんの方から、PCRの検査結果説明の際に、「電話だと顔が見えず不安なのでオンラインにしたい」とのご要望もありました。
神経内科領域でのオンライン診療についてお聞かせください
まだ多くはないですが、運動障害の方で、再診の患者さんへ提案しています。体の動きを見るためには、クリニックに足を運んでほしいと思いますが、遠方にお住まいの方や、検査結果だけを聞きたいという方へは、オンラインを取り入れても良いかなと思っています。また、今のところは対面とオンラインを交互に実施しています。
神経内科領域では、体の動きを診たり、触ったりすることが必要で、まだまだ積極的にオンラインにしていくことは難しいと考えていますが、運動障害のある患者さんに、クリニックに足を運んでいただくことが負担になる場合には、オンラインを取り入れることで通院負担の軽減につながる可能性もあります。
将来オンライン診療について期待されていることをお聞かせください
オンラインを通じて、得られる情報が増えて行けば、将来、神経内科領域でのオンライン診療も進んでいくと思います。
電話感覚でつながって、患者さんの動きがより詳細に観察できるようなデバイスやオンライン診療システムの進化にも期待したいです。